強くなりたくば、迷え。

昔から体育嫌いだった俺が唯一フルマラソンだけ続けられた理由は、貧乏と方向音痴の上に成立したと言っても良いだろう。
(勿論、体育会系特有の同調圧力や連帯責任が生じない気楽さもある。)

では、何故に方向音痴と貧乏なのか?
それは、飲んで終電に乗ると、必ず寝過ごすからである。

降りる駅を過ぎようものならまだしも、大抵は終点で起こされる事となる。
タクシーに乗るなどと言う発想は当然なく、ましてや「シャワー付きのネカフェ」が一般的でない時代、カプセルホテルに泊まる金あれば朝まで飲みたい位である。

でも早く帰って寝たいので色々考えた結果、酔い醒ましに家まで走らざるを得なくなる。
しかも方向音痴なのですぐ迷い、必然的に必要以上の走りを強いられる事となる。

しかも都内と違って田舎の道は、逃げ場のない一本道がひたすら続いた上に、簡単に行き止まる。足腰と精神力を鍛えるには最高だ。

こうしたミスを繰り返して培ったのが現在の脚と持久力なのであれば、やはり継続は力なり、なのだと思う。