続き。あまりにも高密度な内容につき、纏めるのに丸一週間かかっちまった(汗。
岩井俊雄氏のスペシャルトーク&ライブに続き、後半のパネルディスカッション。
「ディジタルコンテンツの未来」というテーマのもと、非常に魅力的かつ個性的なメンバーが集まった。
先述の岩井氏に続き、
- 佐々木 渉氏(言わずと知れた「初音ミク」の中の人。クリプトン・フューチャーメディア)
- 武田 双雲(書道家。カロッツェリア広告、「北の零年」など題字多数)
- 平野 友康(「motion dive」、「BiND」など。デジタルステージ代表)
- 水口 哲也(『スペースチャンネル5』『Rez』など。『元気ロケッツ』プロデュース)
等と錚々たる面子(敬称略)。そしてオーガナイザーは明治大学講師、宮下芳明氏。
「phテルミン」なる物も操り、明和電機とも共演した宮下氏のプロフィールも実は興味津々だったのだが、時間の都合で割愛との事。うーむ残念。
さて、気になるパネルディスカッションの本編ですが。。。
なんと、ほぼ全員自己紹介して時間終了wwwしかも約半分は初音ミクというwww
しかし、このメンツだけあってその内容がまた素晴らしい!本当、今日は貴重な話が多いです。
クリプトン佐々木氏のプレゼンにおいてはVOCALOIDの実演もあったのだが、何とこの画面が開発中の鏡音リン(&レンと翌日判明するのだが)だったという嬉しいサプライズも。
で、やはりミクヲタの一人wとしては「鏡音」の存在ももちろん気になったのだが、更に興味深いサービス展開として「ピアプロ」の存在が挙げられた。
これは「ニコニコから火がついた初音ブーム」の当事者である、クリプトン社ならではの発想かも知れない。
本人達も予想外であったであろう、数多くの無名の職人達を「みっくみく」という共通言語で一気に覚醒させた”創造の場”を自ら開放し、製品を使用した楽曲に限らずイラスト等の各々得意な分野を投稿し合い、協業して新たなコンテンツを育てていく機会を提供するという、非常に興味深いサービスだ。
実際、発表日に鏡音レンのイラストが多数上がっていたのには驚いた。
「クリプトンはCGMに対し非常に(慎重ながらも)意欲的かつ本気だ」という姿勢が窺え、期待すると同時に何だか嬉しかった。
いずれ「初音」の枠を超え、また新たな潮流がここから生まれる気がする。
今回出演の中で唯一、武田双雲氏については恥ずかしながら初めて知ったのですが、「けものみち」題字やソニエリ携帯のデザイン等、その作品は随所で見ておりました。
他ジャンルのクリエータとのコラボレーションも積極的で、プレゼンで紹介していた武田氏の書いた文字がデジタル加工によりリアルタイムで息吹が与えられ、歩き出したり飛んでいったりする映像が、非常に興味深かった。
「言霊を表現する」芸術の在り方について、先程の佐々木氏の話とリンクしていたのがまた面白かった。
まさに刺激的なメディアの手法は「筆を選ばない」とは、うまい事を思ってしまったりして。
そして、(株)デジタルステージ代表の平野氏。
もう、この人はmotion dive発表当時から素敵でした。何だか面白い人だなぁって。
またプレゼンもすげぇ上手いの(当たり前だが)。
リハーサル時等に会場内を撮影した映像などを編集し、その場で明治大学のプロモーションビデオを作ってみせる。そこに痺れる憧れる。
その各々数分の工程が、かっちり「motion dive」や「Life」の製品紹介になっているのだ。
そして、新作「BiND for WebLiFE」の紹介。
Web制作に必要な技術や知識など、その難しさや煩わしさから来る膨大な時間や労力を、全て我々が肩代わりします、との事。
もうW3Cの気まぐれやブラウザ間の独自仕様等、無用なWeb業界のエゴに振り回されずに済むという事でしょうかw
そういえば今年は俺、g**klog等に振り回された挙句に貴重な数ヶ月をドブに捨てたよな・・・。
そして出来た時間を、是非コンテンツの充実や大切な人との時間に充てて欲しいとの願い。素敵です。
しかしその気が遠くなる程膨大かつ難解だったであろう開発工程を、合宿の風景などを交えてサラッと紹介。
凄く大変であろう事を、物凄く楽しそうに話す。こういう人に私はなりたい。
そして、トリは水口哲也氏。「Rez」や「ルミネス」等、ゲームと音楽がシンクロし「(所謂音ゲーとは違う)ゲームを演奏する気持ち良さ」を提示。
この「ルミネス」、ゲーム画面がベックやケミカル・ブラザーズ等のPVと連動していて、それがまた凄ェ格好良いの。
また、「映像や音楽を利用したインタラクティブメディアであるゲームは、言語の壁を越えて世界中の人に何かを伝えることが出来るメディア」であると言う。
この辺り、先の岩井氏に繋がる話でありながらも、武田氏や佐々木氏の「言葉の力」とまた対照的な視点で面白い。
そして、去年からプロデュースしている「GenkiRockets」を紹介。
「生まれ育ちは宇宙、30年後の18歳少女がまだ見ぬ地球を想って歌う」という設定がなかなか痺れる。
その辺の「なんちゃってSF」ではなく、真面目に30年後を見据えているようである。
まだ降りたことのない地球に本気で憧れていて、その憧れとか感情をストレートに歌にしているのだが、将来の危惧とか現実の悲惨さも逆説的に説いている、と思う。
だって恐らく現実を見たら酷く失望するんだろうな、とか想像してしまうもの。
デビュー後1年経たずして世界同時配信のイベント、LiveEarthのオープニングを飾るとか景気の良い活動をしている。
「友人の」ゴア元副大統領がホログラムで降臨して演説するシーンとか、是非生で見てみたかった。
・・・さて、話は長くなったが。
近年、変革の波は凄まじく、少し前の常識などは何の意味も成さなくなる。
例えば長年「ゲームは近視、不健康、バカの根源」とされていたものが、wiiやDSの登場により「視力・健康・脳に良いゲーム」が登場し、一気に概念が覆されてしまった。
こんな事、ほんの数年前には想像することさえ不可能だった。
この半年後には、色々な価値観がまた逆転しているかもしれない。いや多分している。
そして、それを作って牽引していくのは今迄のように一部のメディアや企業ではなく、一般の個人。その誰もが「作る権利」を得たのが現代。スーパー素人。
今なら高性能なツールや情報取得、世界中に配信する手段にも恵まれているからねぇ。
新世紀が始まるには、実質10年程のスパンが開くという。つまり、本当に21世紀が始まるのは2010年くらいからだと。
プロとかアマとか、デジタルとかアナログとか技術とか言語とか人体とか。そんな概念を越えた先に、「ディジタルコンテンツの未来」はあるのではないかと。
もうね、凄ぇよみんな。見ている先が全然違うの。
自分、まだまだ小っちぇえなぁ。
いつか、この人達と対等に話が出来るようにありたい。
いや、結果出来なくても良いんです。そういう生き方が出来てさえいれば。
しかし、やはり贅沢を言えば、この錚々たるメンツによる「21世紀におけるメディアの在り方」的な議論を、時間を気にせず聞けたらと思うと・・・ヤバい、鳥肌が立つ。
スケジュール調整などかなり難しいとは思いますが、是非とも実現して頂きたい。
自分も、こんな所で立ち止まってはいられないな。
という事で、当初その後予定していたもう一つの用事は控えさせて頂きました。失礼。
※更に追記:これ書いている途中、何と宮下教授からメッセージを頂きました!
「このシンポジウムがどれだけ大学側に認められたかはわかりませんが、今後も説得を続けて第二弾をやってみたいと思っています」との事。是非!!
“常識の先に見据えた未来~続・明治大学パネル討論” への1件のフィードバック
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